日本人の時間

 今日7月13日は「日本標準時制定記念日」だ。1886年7月13日に「東経135度を日本標準時とし、1888年1月1日よりこれを実施する」という勅令が公布されたことに由来している。標準時というのは、ある決まった範囲(国、もしくは地域)で共通して使われる時間のことで、協定世界時(UCT)が基準になっている(協定世界時:セシウム原子時計が刻む国際原子時を元に、天文学的に定められた世界時(グリニッジ標準時)との差が1秒未満になるように、閏秒を挿入して人工的に維持されているもの)。日本では東経135度、兵庫県明石市を通る子午線上の地方太陽時(太陽時:太陽が一番高いところに来る時間を正午とした時間)の平均値を標準時としている。その時間は協定世界時よりも9時間進んでいるため、UTC+9と表されている。

 とは言え、日本国内にいるかぎり、あまり標準時を意識することはない。なぜなら、北海道の東端にいようと、本土最西端の長崎佐世保にいようと時計が指している時間は同じだからだ。標準時の存在を感じるのは、時差のある海外に行ったときや、広い国にいくつもの標準時があることを思い知らされたときくらい。かつては時計が狂ってくると、NHKや117の時報を聞いて正しい時間に直したものだけど、最近は時計の精度が上がってあまり狂わない。それどころか、ここ数年は電波時計が増えてきて、いつの間にか自動的に補正してくれていたりするんだもんね。ますます標準時を意識する機会がなくなってしまったような気がする。

 さて、今日は絵本も時間の事をテーマにしたものを紹介しようと思う。「絵ときゾウの時間とネズミの時間 」という絵本だ。そう、タイトルを見てもわかるとおり、かつて話題になった「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書) 」を子ども向けに書き直した科学絵本だ。「ガリバーがこびとの国に流れ着いた時、こびとの12倍の背丈があるガリバーにはどれだけの食料を用意したらいいのか」という話から始まるこの本。体の大きさが違うと食べる量が違い、消費するエネルギー、活動の仕方なども違ってくる。そして、それは一生の長さにも関わってくる。大きくて動きがゆっくりしているゾウと、小さくてちょこまかと動き回るネズミ。ゾウの寿命は約80年なのに対して、ネズミの寿命は2年ほどと短い。でも、一生の間に心臓が打つ鼓動の数はほぼ同じだという(ついでに、人間も同じらしい)。つまり、ネズミの一生が短いのは、鼓動が速く体重当たりのエネルギー消費量が多いからに他ならない。犬やネコなど身近なペットたちの寿命が人間よりも短いのも同じ理由らしい。体積や表面積の計算など、まだ小さい子どもには難しいことも書かれているけれど、「科学する心」をくすぐるおもしろい絵本だ。大人にも子どもにもおもしろいことが書かれているから、親子で一緒に読んでみてね。

 一生に心臓が打つ鼓動の数は20億万回くらいだとか。そう聞くと、都会の人と比べて沖縄の人が長生きだというのも何となくわかるような気がする。きっと鼓動の速さがちがうんだろう。まわりのものが刻む時間が都会と沖縄では違うと聞いたことがあるけれど、都会の時間の進み方、沖縄の時間の進み方が違うように感じられるのは、もしかしたらそこに住んでいる人の鼓動の速さのせいかもしれないね。

絵ときゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集) 絵ときゾウの時間とネズミの時間 (たくさんのふしぎ傑作集)

著者:本川 達雄,あべ 弘士
販売元:福音館書店
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きつねとたぬき

 ずいぶんと寒くなってきた。こんな日には暖かいものがおいしい。うどんとかそばとか鍋物とかね。でも、1人でお昼ごはんだと、カップにお湯を注いで3分とか4分とかいうのになりがち。あ~、わびしい。日清食品のどん兵衛だと、関東向けと関西向けでつゆの濃さがかなりちがう。原材料表示のところにEと書かれているのは関東向けで色も味も濃い目、Wと書かれているのは関西向けで色が薄く、だしを効かせてある。わたしは両親が浜松出身だし、大学に入学するまでは中部以東で生活してきたから、濃い味つけで育ったはずなんだけど、関西での生活が長かったせいなのかなあ。自分でお金を払って食事をするようになってからが関西だったせいかなあ。いつの間にかWのマークが付いている方が食べやすくなってしまった。でも、無いんだよね。岐阜にはWと書かれているのが。だから、なるべくつゆを薄めに作って食べている。

 そもそも、関東では甘辛い油揚げがのっているのが「きつね」、天かすがのっているのが「たぬき」。だから、両方にうどんとそばがある。でも、関西では揚げがのっているうどんが「きつね」、揚げがのっているそばが「たぬき」。だから、「きつねそば」とか「たぬきうどん」なんて物は関西にはない。油揚げの味付けもあまり濃くなく甘め。ちなみに天かすがのっているものは「ハイカラ」と言う。「天かす」と言うか「揚げ玉」と言うかの違いもあるんだけどね。関東でいう「力うどん」は関西では「かちんうどん」。うどんの呼び名だけで考えると、岐阜は距離的には関西に近いけど、関東文化圏なのかもしれない。ちなみに、中部地方の「ころうどん」、他の地方だと通じない。つゆのかかった冷やしうどんのことなんだけど……うわっ、書いただけで寒くなってきた~!

 きつねとたぬきと言えば、「こぎつねコンとこだぬきポン 」を出さないわけにはいかないだろう。こぎつねのコンが住んでいるつばき山には、コンのお父さんとお母さん、そしてコンの3匹しか住んでいない。だから、友だちがいない。いないというよりも、友だちというものがよくわからないのだ。こだぬきのポンの住んでいる杉の木山も同じ。ある日、コンもポンも友だちがほしくなって、探しに出かけていった。2匹は川をはさんで出会うのだけど、それは高い崖の向こうとこちら。間に橋がないので、お互い歌を歌い合っただけ。それでも楽しくて、相手のことを知りたくなった。2匹はうちに帰って出会った相手のことをお父さんお母さんに話した。すると、どちらの親も「そいつは悪いやつだ。そんな子と遊んではダメだ」と言った。それでも、2匹の思いは強かった。それからも会い続け、どんどん仲良くなっていった。最後には、2匹の強い気持ちが形となって、家族ぐるみのつきあいへと発展していく。その経緯は実際に読んでのお楽しみ。とても優しく暖かい気持ちになれるお話だ。

 わたしたちがまだ関西に住んでいた頃。遊びにやって来たパパの両親と一緒にうどん屋さんに入った。義父は「冷やしたぬき」を注文しようとしたのだけど、「えっ、何ですかそれ?」と半分笑いながら聞き返されてしまった。「冷やしたぬきも知らんのか!」と文句を言いながら、一生懸命説明しようとする義父。あわててそれを止めたわたしとパパ。今でもあのシーンは忘れられないなぁ。

こぎつねコンとこだぬきポン Book こぎつねコンとこだぬきポン

著者:松野 正子
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ところ変われば

 犬山市のリトルワールドで世界一周してきた。またおとといと同じメンバーで。車で片道1時間ほど。義妹の車に乗せてもらい、わたしは助手席に。とってもラクさせてもらった。ともぴーは同じ幼稚園に通ういとこのとなりに座って大はしゃぎ。着いたころにはフラフラになるほどパワーを使ってしまっていた。薄曇りでほどほどに風があり、夏休みとしては最高の見学日和。帽子も日傘も忘れていたわたしとしては、本当にありがたかった。

 野外展示は、世界各国の家。2.5㎞の周遊路に沿って、22カ国33の施設が移築、復元されている。暑さや寒さ、湿気のあるなしなどによって、家の形はずいぶんと違う。素材も違う。それに、アフリカには第1夫人、第2婦人の家なんて、ともぴーたちにはちょっと説明しにくいものや、ものすごい大人数で住むための家などもあった。日本でも、地域によってかなりの違いが見られる。石垣島では台風対策のために、2種類の瓦を重ねて屋根を葺き、さらにそれを漆喰で塗り固める。見学した家に使われていた瓦の枚数はおよそ1万7千枚。その重みを支えるために柱も102本と多かった。同じく野外展示されていた山形県の「月山山麓の家」と「石垣島の家」はほぼ同じ面積らしいけれど、山形の家の柱は74本。雪対策のために柱の数は通常よりも多いはずなのに、石垣島のものには遠く及ばない。それに、その2軒は軒下の高さもずいぶんと違った。石垣島の方は約270㎝なのに対し、山形の家は430㎝もあるそうだ。石垣島の軒が低いのは、風を家の壁に当てず屋根の上を通すため、山形の軒が高いのは、深い雪に閉じこめられないようにするためだ。窓の大きさ、屋根の傾斜、何もかもが違っていて興味深かった。

 各国の建物では民族衣装を着たり、本場の味を味わったりということもできるのだけど、わたしたちにはそんな余裕がなかった。チビたちをいかに最後まで歩かせるか、それだけを考えていた。体の小さい下の2人は、途中ベビーカーに乗ったり、おんぶをしてもらったりしていたけれど、体の大きいともぴーにはそんなことはできない。というより、乗りたそうなそぶりも見せず、サッカーで日頃から鍛えている小3のお兄ちゃんにくっついて走りまくっていた。おかげで、家に帰り着いたらすぐに電池切れ。晩ご飯もそこそこに眠ってしまった。

 地域による違いといえば、おもしろい本がある。「はがぬけたらどうするの?―せかいのこどもたちのはなし 」という絵本。わたしは子どものころ、上の歯が抜けたら縁の下へ、下の歯が抜けたら屋根の上に投げるとまっすぐな永久歯が生えてくると聞かされた。乳歯が抜けたときに何かをする、という国はたくさんあるけれど、縁の下と屋根の上というのはアジアのごく一部の国だけのようだ。抜けた歯をこっそり隠してお願い事をし、1年後にその歯を無事見つけられたらもう1つお願い事ができる、というところや、ネズミや妖精が古い歯を持って行く代わりにプレゼントやお金を置いていってくれるなんてうらやましい風習を持った国もある。国によって様々だけど、遠い国同士に意外な共通点が見つかったりするとびっくりさせられる。64カ国に伝わる66の風習が掲載されているこの絵本。歯の話で世界一周というのはどうだろう。大人には歯をどうこうする楽しみはないけれど、十分楽しめる一冊だ。

はがぬけたらどうするの?―せかいのこどもたちのはなし Book はがぬけたらどうするの?―せかいのこどもたちのはなし

著者:ブライアン カラス,石川 烈,セルビー ビーラー
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